Bairro Altoのディーヴァ
- 2013.06.07
昨夜は日本からお越しのお客様とファドのお店をはしごして聴いて参りました、素晴らしい夜でした。
まず、シアードにある「FADO in CHIADO」(ファド・イン・シアード)。
こちらはレストランではなく、ショー専用の劇場タイプで、照明や映像も合わせてとても見やすく演出されています。
早めの19時スタートで上演時間は約50分、途中休憩はなく、ファディスタが男性・女性1名ずつと、ポルトガルギター、ギターの4人で行われます。
この見せ方がとてもよかったし、この日の歌手もよくていい日に来ることができました。
男性歌手は先日パテオでも一緒になった若手André Vaz、古典からポピュラーまで歌える注目歌手です。
長身でハンサム、ステージ映えする歌手で、過去にファドを題材にしたミュージカルにも出演しています。現在はこの「FADO in CHIADO」をはじめ、名店「LUSO」「O Faia」そして、「Velho Páteo de Sant’Ana」などで日替わりで歌っています。
ショーは最初はポルトガルギターだけが暗闇に浮かび上がり、その後ギター、歌手と次々に現れ古典ファドを男女で掛け合いながら始まります。
女性はMafalda Taborda、彼女も若手ですが実力派で名店「O Faia」でも歌っています。
その後各歌手のソロがあり、インストルメンタルがあり、マルシャ(マーチや歌劇での歌)で盛り上がって、あらゆるジャンルを見せてくれました。
気軽に楽しみたい方にはお勧めです。
続きましてBairro Altoの名店「O Faia」!
偉大なるファディスタ故Lucília do Carmoが小さな店から今の規模まで育て上げた格式のある名店です、お料理やホールのサービスも見事です。
お店には彼女をたたえたアズレージョタイルが飾られています。8年ぶりにこのアズレージョに会いに来ることができました。
私のレパートリーの中に、彼女の得意曲もいくつかあり、とても感慨深くタイルの前に立てました。
今夜の歌手は
Mafalda Taborda(偶然にもさきほどFADO in CHIADOでも歌っていた)
Ricardo Riveiro
Anita Guerreiro
Lenita Gentil
というラインナップ、ものすごく豪華でした!マエストロAntónio Rochaは喉の調子が悪く今週はお休みのとの事ですが、彼を欠いてもこの歌手揃えはさすが名店「O Faia」。
トップバッターのMafaldaを除いてはギタリストもすべて先日「馬車博物館」で聴いたメンバーでしたが、今回はマイクなしでCasa de Fadosで聴く「これぞファド」という演奏、やっぱり良かったです!
2番手Ricardo Riveiroの「Fado Pedro Rodrigues」がとても良くて、それだけでも満足だったのに、後半二人はやはり圧巻でした。
70歳を越えたアニータ・ゲレイロ、もと劇場歌手でお客様へのパフォーマンスもお手の物。
マイクを通してよりも、生声でお店で歌う彼女の歌は言葉の運びがきれいで耳に綺麗に入るのです。
先日のステージよりも断然お店での彼女が良かった!お茶目にお客とやりとりして、客席が和らいだところに見事な歌を投げ込む。
70歳を越えたとは思えないパワフルなステージで、彼女のことがとっても好きになってしまいました。
そのアニータの後には、Bairro Altoのディーヴァ、レニータ・ジェンティル!毎晩トリを務める不動のトップ歌手です。
その歌唱力、内面の強さ、全力の歌いっぷりが圧巻!
「あなたについていきます!」と言いたくなる存在感、強靭な喉は恐らく生まれ持ってのもの。
彼女が出る直前に「あなたのMaria Madalenaが大好きなんです、歌ってくれますか?」と伝えたところ、「わかった、歌うわね。」とルッシーリア・ド・カルモから受け継がれてきた名曲を歌ってくれました。
恐らく世界中に「もう一度彼女を聴きたい」と2回目・3回目に訪れる方がいるはずです。現に私たちのテーブルはそうでした、客席すべてが彼女に吸い込まれていくのが手に取るようにわかるのです。
この日は名曲「Nem às Paredes Confesso」と「Lisboa Antiga」まで聴けたので大満足。
最後は大合唱、心臓がドキドキしてしまう興奮のファドのステージなんて久しぶりで、歌姫に完全にやられてしまいました。もちろん「やられてしまいたい」と思って行ったのですが、予想以上にノックアウトされました。私のつたない日本語では伝わらないかもしれないのですが、日本の皆さん、どうぞ歌姫レニータにやられてしまってください!
彼女はBairro Altoのディーヴァです!