ファドを愛する場所
- 2013.06.10
日本からのお客様の「Casa de Fadosめぐり」に連日同行させていただいておりますが、このファドめぐりラストはこちら!
Alfama(アルファーマ)のお店「Fado Maior」(ファド・マイオール)。
私もポルトガルでは必ず寄らせていただいている大切な場所です。
名ファド歌手ジュリエッタ・エストレーラさんのお店です。
彼女の古典ファドは本当にいいのです。このお店は観光客も大事にしますが、ファドの神髄を大事に続けているお店で、私も毎回大切なことを教わります。
ファドの伝統、歴史を知り尽くしたご夫婦。
ご主人のルイスさんは歯科医でしたが、ファドが好きすぎてファド歌手ジュリエッタさんと結婚して、のちにお店を出しました。
彼のファディスタの写真や貴重な資料の数々はお店だけでなく、ファド博物館にも展示されるほど。
うるさいお客がいたら「帰れ」と言います。
私も歌わせていただきました。
8年前に初めて来て、古典のとらえ方、言葉の乗せ方を教わり、以来数年おきに来ては聴いていただいています。
選曲の段階からファドです。今宵この瞬間、何の曲がふさわしく、そして、どんな声を言葉を出すのか。ご夫妻の前ではごまかしは効きません。
ご夫婦を慕って、客人も顔を出し、素敵な歌を聴かせてくれました。
そして、最後はファドの基礎の基礎、古典中の古典「Fado Mouraria」を歌手がまわしあって歌うことに。
私も入らせてもらいましがた、これはレベルが高かった!
「4行詩ね」とジュリエッタさんが合図すると、歌手が自分の選んだ詞を歌い5人で2回転します。
8年前にこのお店でガラガラと音と立てて頭の中が崩れて行ったあの感覚が再び・・・。
相手からもらって伝えていくファド、ジュリエッタさん素晴らしかったです。全然追いつけていないけれど、これに参加できるようになったことが初めてここへ来たときから成長したと実感。
8年前、2005年の6月に、写真にも写っているギターラ(ポルトガルギター)の月本さんと初めてリスボンへ来て、このお店で歌いました。
同じく6月に同じ曲を歌う、古典「Fado das Horas」。
果たして自分はどれだけ変われただろうか、「ファディスタ」と名乗っていいのだろうかと此処で問う一夜。
歌い終わるとジュリエッタさんが「とても良かった、あなたのファド好きだわ。日本でしょっちゅう歌っていたんでしょ、わかるわよ。」と言ってくれました。
私が言えたことは「あなた方のおかげで、今私の目の前にファドの道がある。終わりはない道だけど、ずっと歩きます。」ということでした。
微笑んで、でも真剣なまなざしで「そう、終わりはないの、そう。」とジュリエッタさんは言い、私の手をずっと握っていてくれました。
「ファディスタ」とはファド歌手の意味、そしてファドと関わって生きてゆくものの意もあります。後者も含めて胸を張ってファディスタとして生きていくことを誓えた夜でした。
Obrigada, até logo!