コラム「耳で読む」Arigato Gozaimasu
- 2015.11.25
11月18日発売のポルトガルの雑誌「Visão」にジュリオ・レゼンデのコラムが載りましたので、日本語訳と共に紹介します。
今回の日本公演を終えて、胸の内を書いてくれました。
私について触れていたのですが、とても素敵な表現で、サプライズなプレゼントをいただいた気持ちです。
そして、やはり彼は表現者、この文章に脱帽です。ジュリオ、ありがとう。
また、難しい文章を美しい日本語にしてくださった木下眞穗さん、清水ユミさんに心から感謝いたします。
本文中のリンク先ではジュリオの小作品も聴くことができます。どうぞお聴き下さい。
●コラム「耳で読む」ジュリオ・レゼンデ(ピアニスト・作曲家)
visao.sapo.pt/julioresende1185 ” Visão ” 紙 2015年11月18日
「ありがとうございます」
悩み多き夜、あした本当に日は昇るのだろうかと思うことがあれば、日本の友人に訊ねてみるといい。
友人はすぐに答えてくれるだろう。
どこよりも先に日が昇り、誰に対しても敬意が感じられるこの地では「あした、太陽はあるだろうか」という問いへの答えはすぐに見つかるのだ。
ここでは、太陽は一日をかけて巡っていく世界のほかの場所でのようには、まだ分断されていない。
それゆえ、太陽は自分のものだと言う者もいない。
この国には津森久美子というファディスタがいる。
自分の内に日の目覚めを感じるようなある日、彼女は自身に問うた。
よその土地のよその音楽、幼い頃から耳に馴染みがあるわけでもなく、それなのに、異国の男に恋い焦がれるような情熱をかきたてる音楽を、どうやったらポルトガル語で歌えるようになるのだろう。
そんな問いに、久美子は愛と深い敬意で答え、今では日本でプロのファディスタとして活躍している。
旅人にとって、旅の幸せとは、家に帰ることだ。
きなくさい事件の前も後も変わらず、愛こそが太陽の軌道で一番重要なのだという思いとともに。
(日本語訳:木下眞穗 清水ユミ)
コンサート期間中にジュリオに
「『ありがとう』の後ろの『ございます』って何?」「名前の後ろの『さん』って何?」
と質問を受けて答えておりました。なるほどなるほど。
Continuo a cantar no Japão.Com amor, amizade e fado.
Até logo!