私のFADOの道①
- 2015.12.03
9月からスタートした『東京ファド教室』、昨日からまた新たな生徒さんが加わりました。
まずポルトガル語の読み方からスタート。
ファドに惹かれた理由は皆さんそれぞれ。
各々のストーリーがとても愛しい・・・。
「何がきっかけだったのか」、必ずレッスンを始める前に聞いて、生徒さんと話をします。
ファドに対して何を想い、自分との間に何が生まれて、私を訪ねてくれたのか。
何故なら、この想いがFADOだからです。ささやかな事だっていいんです。
私はそれを最大限生かせるようお手伝いします。
「心がある、だからFADO。」
ポルトガルの師匠アントニオ・パレイラ(写真右)が私にくれた言葉です、私はこれに救われて歩いてきました。
教室の方針でもあります。
2008年、長期の現地修行でリスボンに住み、店で歌っていた私はポルトガル語の発音に、国籍の壁に悩まされました。
出演させてもらっていたお店でも、ポルトガル語圏のお客様に笑われたり、舌打ちをされたり、いろいろありました。
そんな時パレイラと話しました。
私「発音が悪いから笑われる」
パ「うん、それで?」
私「見た目も日本人だし・・・」
パ「うん。でも『心』がある。だからFADOだ。」
にっこり笑って師匠は言いました、それから色んなことが吹き飛びました。
私の大切なものは、ちゃんとここにあったんだと信じられました。
私の心を歌えばいい、それがFADOなんだ。
人生にも光が射した気がしました。
ステージや、演奏の場で歌うことは私にはもちろん大事なお仕事です。
そして、それと同じくらい大切なのがこの教室の場です。
FADOを歌うことで、その人の「心」がこんなにも豊かである喜びを共に見つけます。
ポルトガル語が出来ないなんて、全く気になりません。そんなのは練習であっと言う間にクリアできます。
自分の心と一致した声で歌う、ポルトガル語よりもっと難しい作業です。
大阪と東京教室に通って下さる皆さんは、自分の「心」を持って詩を紡いでいます。
皆さん、個性はバラバラ。誰も背伸びをせず、等身大のFADOを歌おうと向き合っています。
この教室の場を持てたことも私のFADO、師匠に照らしてもらった道はまだ続きます。
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