私のファドの道③「声」
- 2016.01.28
突然ですが、自分の声は好きですか?
私は中学生の時に初めてテープに録音した自分の声を聞いて、
「いや~~~~~!!!」と拒絶、話し声にも背筋が凍りました。
骨伝導で自分に聞こえる声と、ほかの人が聞く声は違うんですよね、衝撃的事件でした(笑)
皆さんもそんな経験はありませんか?
ファドを歌う上で、またレッスンをする上で大事にしているのは「自分の声」です。
鍛えられた美しい声も勿論素晴らしいのですが、
特にFADOにおいてはヴィヴィッドな感情が伝わる声がさらに大切になると思います。
●好きなことを話すとき (私の場合は愛犬の幹太のこと)
●過去の失敗談を話すとき
●恋について話すとき
●サプライズプレゼントをもらったとき
●足の小指をぶつけたとき
まぁ色んな声を出していますよね、いったい何人の私がいるんだろうと思うくらい。
どれも私なんですが。
ファドを聴いて魅かれる理由の一つは、気持ちのある声だと思うのです。
やっぱり「その人の声」「その人の気持ち、心の中」が聞きたいし、
悲しんで、喜んで、切望して、迷って、そして一歩をだして・・・そんな人を魅力的だと思うのです。
だから、自分がはしゃいでいるとき、落ち込んだときに出す声を生かして、
歌唱と語りとを合わせたFADOにしたいといつも思います。
現地のファドを歌う人たち(プロ・アマ問わず)はいろんな声がありました。
●酒やけのようなしゃがれ声
●澄み切った高い女性の声
●かすかにしか聞こえないささやきマダムの声
●しゃべり声とかわらない声色と大音量のおっちゃんの声
などなど
共通していたのは、誰も自分のことを隠さない声だったことです。
(ファドがある酒場で出会ったエドゥアルドおじさん、
「THEお父ちゃん」な話し声そのままで歌うとっても優しいおじさま)
自分の声に自信を持てないという方によくお会いしますが、
そんなことありません、とっても魅力的です。
声を気にして感情を押し殺す場面があって、いつの間にか感情すら押し殺すことも日常あります。
私も躊躇してきた経験がたくさんありました。
でも、隠さないで欲しい、その声は宝物なのだから。
赤ちゃんの声はすごいですよ、魅力のかたまり。
さて、自分の声が好きかどうかについてですが、
私は「好き」と言えるようになりました。
それは、自分自身を受け入れられるようになったからだと思います。
FADOが与えてくれた大事なこと、自分を好きになること。
Até logo!