お前は素敵だ
- 2017.10.08
歌う時に思わず背伸びして自分を良く見せようと歌ってしまうこと。
これはとても危険なこと、特に自分らしさが求められるファドにおいては。
私が師匠パレイラから学んだのは
「そのままで素敵だ」
ということ。
彼は私に技術のみをいっぱい教えようとはしませんでした。
何よりしてくれたことは、信じてくれたこと。
「お前は素敵だ、心がある」と常に言ってほほ笑んで弾いてくれました。
ポルトガル文化のいいところは、一人ひとり違っていいこと、
誰かと比べてあせってもどうしようもない、と。
様々な人種がいる国家であることも一因である気がします。
自分の虚栄心を取り除くこと、
裸の心で誰かの前に立つことはとても恐ろしい、特に大人になってからは。
どんどん「無理」「緊張」という武装をしてしまう。
でもそれではいい声は出ない。
いい声というより、自分らしい声。
時にその武装が技術も邪魔してしまう。
生徒さんにもこの話をよくしますが、誰より自分に言い聞かせていること。
歌う直前、必ず師匠の声を胸で聞くようにしています。
「お前は素敵だ、心がある」
誰かが言ってくれた一言、何よりも強い力となります。
Até logo!