マエストロを追いかけて
- 2013.06.03
今日は、素晴らしい方にお会いすることができました。
ファド歌手アントニオ・ロシャさん、名店「O Faia」で歌う偉大なファディスタです。
これまでこんなにも「マエストロ」という言葉が似合う方に出会ったことがありません。
初めてご挨拶をさせていただきましたが、とても丁寧に礼儀をもって対応してくださいました。
ファド博物館での演奏があり、師匠たちが伴奏だったので控室でご挨拶させていただくことが出来ました。
昨日からリスボン入りしたポルトガルギター奏者の月本さんと、リハーサルから見学させてもらいました。
魂が、熱き血潮が、言葉に、ファドに、生き方に・・・。すべてを声に乗せて、マエストロは魅せて下さいました。
その人柄もすべてファドと申し上げていいでしょう、ギタリストからもファディスタからも、ファド関係者が皆彼を慕っています。
歌を聴くとわかるなんて軽薄かもしれませんが、そう感じてなりませんでした。気が付けば涙が流れておりました。
ファド博物館のあとは、マエストロを追いかけて、ベレンにある「馬車博物館(Museu dos Coches)」へ月本さんと参りました。
何故「馬車博物館」かといいますと、「LISBOA loves FADO」と題しましたユネスコ文化遺産を祝うfestaのコンサートが行われたのです。
今月こちらで数回行われるのですが、今日は名店「O Faia」のトップ歌手とギタリストによるコンサートで、マエストロももちろん出演!
まず最初は若手リカルド・りベイロ、若手と言っても一流の方です。声量と声の美しさは圧巻!
チャーミングな部分がトーク中も随所に出てきて、人柄の良さもうかがえます。
以前、小野リサさんがテレビ番組でリスボンを訪れてファドを歌った際に、サポートしたのが彼です。
そして、マエストロ!荘厳な雰囲気のステージに立つ姿も美しい・・・。
一番手のリカルド・りベイロが「彼はファドの歴史の一部、最後のestilista(文体に凝る人、名文家)」と紹介したのが印象的でした。
マエストロの顔が真っ赤になるほどの全力の声が、どんなに遠くても、心をわしづかみにします。
ラストは名店のトップ歌手レニータ・ジェンティル、強さと柔らかさをあわせもち、圧倒的な声量と存在感で魅せてくれる方です。
この店が受け継いできた名曲「マリア・マダレナ」(Fado das horas)をやっと8年越しで聴くことができました。
私が初めて覚えたカスティーソで、8年前にお店に聴きに行ったのですが、その日は彼女は他の曲を歌ったので聴くことができませんでした。
だから、本当に嬉しかったし、私に熱い気持ちを注入してくれました!
最後は大合唱&スタンディングオーベーション。やっぱり「O Faia」は凄いです。
この興奮と熱い想いを抱えて夜はいつものお店「パテオ」へ行って歌いましたが、「自分はまだまだやなぁ」と痛感。
リスボン3日目、追いかけたい目標がまた一つできました。
マエストロ、これからもお元気で歌ってください。
Até logo!